研究会代表 あいさつ
少子超高齢化に伴う人口減少・税収減少による予算制約の中で、社会保障費の費用抑制が必要となってきます。もちろん、高齢者が人生の終わりの時まで住み慣れた地域で安心して暮らせる長寿健康社会を実現することが基本として必要であり、画一的な医療費抑制策ではなく、地域毎の実態にあったきめ細やかなケアシステムの確立が求められています。 その検討にあたっては、「個人の健康状態」をベースとした医療・保健・介護だけでなく、「住まいと住まい方」の側面から既存施設の有効活用や地域全体としてのエリアマネジメント、さらには、それらの前提となる経済・社会・財政・労働環境など、様々な視点から切り込む事が、実際の課題解決を考える際には重要となります。
金沢大学では、平成27年9月に地域の健康づくりを、地域看護や公衆衛生、都市計画、統計、地域経済、など、様々な専門分野から考える「地域包括ケアとエリアマネジメント研究会」を学内有志で立ち上げました。
この研究会では、医療費・介護費、介護ニーズの分布、高齢者の生活実態、医療・介護サービスの供給等に関する国民健康保険データベース・後期高齢者データベースなどを分析して、ケアシステムの地域特性を抽出し、多主体・多職種な地域包括ケア、および、高齢者の長寿健康促進のためのエリアマネジメント方針(施設立地、交通まちづくり施策)の策定に反映させる政策デザインを提案するとともに、地域特性に応じた福祉・都市計画が介護費を抑制する効果について検証することを目的として、いくつかのグループ・フィールドに分かれて展開・活動・連携しています。
人間社会研究域 経済学経営学系 教授 佐無田 光